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逆上がり
子供たちへ :

「 どんな子供でしたか?」ってみんなによく質問されるから、
ひとつ思い出したことを書くね。

エイジは小学校2年の時まで、鉄棒で逆上がり (さかあがり) が
できなかった。
クラスの大体の子はできていた。
「 いよいよ、あさっては逆上がりのテスト 」 という時、
学校の運動場が閉まる5時まで練習した。
やはり逆上がりができないマサトちゃん (宮武正人) と一緒に。
ふたりとも手の親指の根元とか、内側の皮がむけて痛かった。
でもやっぱりできない。
そして翌日。
「 きょうしかない 」
また、鉄棒に向かった。
鉄棒につかまると、その正面に校舎に掲げられた
丸くて白い時計がこっちを見ている。
短い針と長い針が3時35分を指している。
何回も何回も地面をけって、空を見上げて、
でも宙を舞う足は、鉄棒から離れて、校舎の時計の方に
向かってしまい、すぐに地面に落ちた。

すりむけた手が痛いのは当たり前になり、やがて感覚が
なくなり、何百回も地面を蹴っていた時に変化があった。
上に上がった足が、鉄棒をクルリと回り、体が鉄棒の上に
乗っかり、自分の両手で支えていた。
できた!
ほぼ同じ時に、マサトもできた。
時計を見ると、学校が閉まる5時の2分前の4時58分。

念のため、もう1回やったら、またできた。
3回目もできた。

翌日のテストでは、マサトもエイジも逆上がりができた。
ふたりは顔を見合って喜んだ。
言葉は要らなかった。

その後、エイジが鉄棒がものすごく得意になり、
ヒザを抱えての回転は、前方も後方も何百回も連続でできた。

高校になって、蹴上がり (けあがり) もクラスで、いち早くできた。
すべては、あの4時58分に始まった。

あの時、時間の神様は、時計を止めて、待ってくれた気がする。
あの時、空の神様は、両足をつかんで、鉄棒の方に持って
行ってくれたと思う。
by fighter_eiji | 2008-12-21 15:29 | Children’s Times
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