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あるボクサーの役目
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ニカラグアからアメリカに亡命していたボクサー。
3度世界チャンピオンになった。
日本でも試合をした。
その気品と風格とジェントルマンシップから
「 貴公子 」 という異名をとっていた。
史上初の4階級制覇をかけた試合でKO負け。

その後、83勝67KOの大記録をうち立てたスターは
故郷のニカラグアに帰ることにした。
今度は本当の戦いに挑むため。

当時のサンディニスタ政権に対抗するコントラという
反政府側のゲリラとして自由のために闘うため。
ボクサーや著名人が集まってお別れパーティは開かれた。
もう命を捧げる覚悟を決めていた貴公子は言った
「 長い間、応援をありがとう。 ファンの人達にさようなら。
 素晴らしい友人達にさようなら。 ボクシングにさようなら。
 みなさんに永遠にさようなら 」
ボクサーの仲間達がみんな泣いた。

彼の名はアレクシス・アルゲリョ。
アメリカに来る前に彼の弟が目の前で政府軍に殺された。
試合で勝ってもジャンプなどせず、倒れた相手を
悲しげな目で見つめ、どこかに影を持っていた偉大な
チャンピオン、アルゲリョの心にはいつもいつも
弟のことがあったにちがいない。

自分のボクサーとしての役目を終えた後、
今度は栄光とはまったく縁のない、
兄弟としての使命が待っていた。

アルゲリョは現実から逃げない、どんな強敵であっても。
男には命をかけてやらなくてはいけない仕事がある。
by fighter_eiji | 2007-10-23 21:06
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