編み物は長い時間がかかるもの。雨の日も風の日も。
2階の隅にあるいつもの木の椅子で編み物中のおばあちゃん。
小さな村のその家に珍しくタクシーが止まる音。
急ぎ編み物を置いて1階の玄関へ急ぐおばあちゃん。
洋服に引っかかった糸がおばあちゃんと共に1階へ。
椅子の上では引っ張られた糸玉がくるくるくるくる回り、やがて止まる。
窓からのぞくと玄関でタクシーから降り立った紳士を無言で抱擁するおばあちゃん。
長ーい糸はおばあちゃんが待った長ーい年月。それがとうとう1本の線でつながった。
その紳士は35年ぶりにこの島の村に帰って来た息子。
映画『ニューシネマパラダイス』は29歳の監督によって作られたのが驚き。
人間は生きた年月よりも、その中身。いかに成長するか。