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【 アンネの日記 】 - May 3, 1944
【 アンネの日記 】 から、ある日の日記を訳すね・・

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みなさんももちろんご想像がつくように、私達は絶望的な気持ちでたびたびこう言うのです
「 戦争にはなんの意味があるの?ああ、なぜ人は一緒に
 幸せに暮らせないの?どうして、こんな破壊が続くの?」

この疑問はみんなが理解できるもの。ただし答えはというと
誰ひとりとして満足のいく答えは出せないんです。
壊された街の再建をしているイギリスは、なぜそれと同時に
もっと大きな戦闘機や爆弾を作ってるの?
なぜ、医療科学、芸術家や貧しい人のためには1円もなくて、
戦争には毎日何百億円も使われるの?
世界のどこかでは山盛りの食料がありあまって,腐っている
のに、どうして他のところでは人々が飢えているの?
ああ、なぜ人はそこまで気が狂ってしまったの?
戦争は政治家や資産家の仕業だけだという事を私は
信じません。
いいえ,ちがうのです。
普通の人もどうみても有罪なのです。そうでなければ、
民衆と国家はず-っと前に戦争に反対したはずです。
人の心には破壊的な衝動があるのです。
怒り狂い、人を殺すという衝動が。
すべての人の人間愛が - まったく例外なく - 変容を
遂げなければ、戦争は続き、細心の注意を払って建てられた
建造物も、耕された畑も,育てられた動植物も刈り取られ、
破壊されます。
ただ、もう1回最初からやり直すためだけに。

私は時々、落ち込みますが、決して絶望はしません。
この隠れ家の生活も面白い冒険だと思っています。
危険とロマンスとあらゆる不自由も私の日記の材料になるの
です。
私は決心したのです。
他の女性とは違う人生を私は生きるのだと。
そしてただの主婦にはなりません。
ここでの経験は面白い人生の始まりであり、
だからこそ - それが唯一の理由 - どんなに危険な瞬間もその
面白い側面を見て笑っているのです。
私は若く、たくさんの隠された資質を持っているはず。
私は若く、強く、大冒険と共に日々を生きています。
私はその冒険の真っ最中で、その事に不平を言うような時間は
ありません。
なぜなら不平を言ってもぜんぜんつまらないんです。
わたしは陽気な気質と強さなどに恵まれています。
毎日、自分が成長して行くのが分かります。
解放の日は近いのが分かります。
自然の美しさや人々の優しさを私の周りに感じるのです。
毎日がなんて魅力的で楽しい冒険なのでしょう!
こういうものを私は持っていて、
なぜ絶望なんかできるでしょうか!

1944年5月3日
アンネ・フランク (14才)

       ( 「 アンネの日記・完全版 」 訳 : Boxer Eiji )

   ●○ 読者から ●○

アンネの日記をもう一回、ちゃんと読まねばなあと思いつつ、
あんまり読んでないアンネの日記。
たぶん初めて読んだのが小学6年生。
自分で求めたのではなくて、母が買ってくれたもの。

それまでにも
「ガラスのうさぎ」
「ふたりのイーダ」
「ベトナムのダーちゃん」
などを母が買ってくれて読んでいました。
(母は本について一言も語ったことはないですけれど、
 母なりのメッセージだったのでしょう!)

アンネの日記は、正直に当時の感想を言うと、私よりほんの少し
年上なのに、すっごく大人っぽいことを書くんだなぁって。

第二次世界大戦中にアンネをはじめ、ユダヤの人々に起こった
悲劇について知ることはできましたが、
書いてることが難しかったのです。
まだそういう精神年齢でした。私は。

以前に読んだ「ダーちゃん」のほうが、絵本形式だったし、
(文字だけでは想像に限界があるので)
(だって「爆弾が投下された」を想像するのも難しいんですよ、
 子どもは)
年齢も近かったし、最近のできごとだったので、
なんとなくこちらのほうが理解できたような気がします。

ダーちゃんは村のすべてのみんなとともに、目の前で家族を
殺されて・・・なのに、本の最後には笑顔のダーちゃんが
写真に写っていました。
(たぶん)(「がんばれダーちゃん」だったかな?)
とってもつらい思いをしたのに、ダーちゃんはどうして笑顔
なんだろう?というのが最大の謎でした。
ぜったいに私にはまねできない・・・
私だったら笑顔で写らなかっただろう・・
そんなことを感じました。
子どもの感覚なんですよね。

絵本には米軍が実際どのようにしてベトナムの農村地帯を
攻撃したか、について具体的に書かれていて。
ナパーム弾、というので、森を焼き尽くす。(だったと思う)
村人たちが弾に当たらないように地中に壕を掘って
隠れている、その壕を破壊するため地中深く破壊力のある
爆弾を使う。
なんでそんなことをするのか、生き延びるために隠れて
いる人をわざわざ殺そうとするのか、まったくぜんぜん
わかりませんでした。
とにかくそれらは、衝撃的でした。

(これ以上書くと長くなるのではしょります)
そういうふうに本を読んだり、親に空襲体験を聞いて
思ったのは、「なんで戦争したんだろう」ということでした。

日記を読むとアンネも同じ疑問を持ってるんですね。
私は政治家や軍人が戦争を起こしたんだと思いました。
一般の人々はそれに巻き込まれたんだと。
しかし、アンネの答えは違うんです。

「いいえ。違うのです。普通の人もどうみても有罪なのです」

これはすごいことですよね。
15歳でこの答えを持つってすごいですよね。
さらにアンネは「人間愛」という言葉も使っています。
小学6年生の私には、これらの言葉の持つ意味が
わからなかったと思います。

(ブッシュさんはアンネの日記を読んでないんでしょうね)

大人になって親になった今は、遠い国の争いごとにも、自分は
何かの責任を負うているのではないかと感じるように
なりました。
アンネの言葉の前には、なんか嘘っぽくなりますけれど。
人間愛ってなんだろうっていうのも、考えますね。
by fighter_eiji | 2008-11-07 23:51
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