人気ブログランキング | 話題のタグを見る
クッキーとヴィヴァルディ
おいしい手づくりクッキーとフルーツ&クリーム入り
ケーキを買ってきて家に着いた。
ちょうど家の前を一度見覚えのあるおばさんが
水色の上下体操着で歩いていた。
「 お茶を飲みましょう 」 と誘った。
「 いえ、どうも。 これから行くところが ・・」 と忙しそう。

「 おいしいクッキーがあるんですよ 」 ともう一声。
「 じゃあ、5分だけおじゃましちゃいます 」 とおばさん。
すぐにカラヤン指揮のマスカーニやヴィヴァルディの
CD をかけると、「 まあ、いい音楽が流れて 」 と
おばさんの表情はリラックス。

寒い日だったのであったかいココアを入れた。
おばさん 「 おいしいー」
クッキーも食べると 「 うわ、おいしいわ 」
産地直売店の金柑 (きんかん) も 「 おいしい 」

「 コーヒーは好きですか?」 と、ココアが終わりそうな頃に
たずねると 「 はい 」

コーヒーを入れて、こんどはフルーツ入りケーキ。
丸いケーキを4つに切った直角三角形の大きな切れを
お皿に入れたら、「まあ、こんなに大きいの!」とビックリ。

食べ始めると、静かになってすぐになくなった。
「 大きいと思ったけど、おいしかった!」

コーヒーがなくなる頃には日本茶を。
分厚いクッキーもまだたっぷりある。
お茶は何度も何度もおかわりを注いだ。
クッキーとヴィヴァルディ_c0157558_21224838.jpg
その度に
「 いえ、もう大丈夫ですよ。 そろそろ行かないと 」
「 男の人にお茶を入れてもらったのは生まれて初めて 」
と65年、生きてきたおばさん。

「 お茶を飲んでクッキーを食べるのは人生で一番
 楽しいときだと思いますよ。 簡単なのに、
 人はあんまりしてないみたいですね 」 と私。
「 ほんとにそうね 」 とおばさん。
クッキーとヴィヴァルディ_c0157558_21231042.jpg

「 あ、そうだ電話しておかないと 」 と夫に
「 もうすぐ帰るから 」 と携帯で。
結局2時間くらいおしゃべりして、外は暗くなった。

薄いピンクのスカーフを細い首に巻きなおし
「 きょうは幸せでした 」 とおじぎをした小柄なおばさんは
冷えてきた冬の空気の中へ。

  ○● 読者より ●○

すごくいいですね。
わたしも男性にお茶を入れてもらったことは一度もありません。
by fighter_eiji | 2009-01-29 12:44
<< 番組取材 駐車は3階へ >>