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ヒロシマとブロードウェイ
子供たちへ :

以前、書いた文章を載せるね ・・

     【 ヒロシマとブロードウェイ 】

ハリウッドの名優イーライ・ウォラックから
彼の新刊本が届きました。
主演映画 「 続・夕陽のガンマン 」 の原題をもじり
『 The Good, The Bad, and Me 』 と命名された自伝には
クリント・イーストウッドらの賞賛の言葉が寄せられています。
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本にはイーライがいつも私に聞かせてくれるあるエピソードが
記されていました。
1945年8月、彼は海兵として南フランスのニースに駐留。
長引く戦争のさなか、広島に大型爆弾が投下され、
戦争が終結するとの情報。
「 やった! これで国に帰れる!」 とイーライ達兵士は
歓喜しました。

月日が経った1955年、イーライがブロードウェイ劇
「 8月15夜の茶屋 」 に沖縄人役で主演していた時、
楽屋裏で広島から来た6人の女性に紹介されました。
6人は芝居後の着物衣装を着けたままのイーライに
丁寧におじぎ。
彼もおじぎをしました。

頭を上げると女性はまたおじぎをしたので、
こちらも頭を下げました。
それが何度も繰り返されるうち、役者の視線はどんどん
下がっていき、やがて彼女らの顔を直視できなくなりました。

アメリカの慈善団体が、この6人を招き手術を施したのですが、
目に映ったのは、焼けただれた6人の顔でした。
2国間の架け橋にと日本人を演じていた元兵士は終戦の時
「 国に帰れる 」 と喜んだ自分を思い出し、
それを心から恥ずかしく思いました。

「 あの爆弾投下は、人類史上、一番バカな行為だ 」 と話す時、
イーライの目は、60年以上前の事をまるで今起こっている事を
見つめているように見えます。
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原爆に限らず、あらゆる爆弾と武器は愚かな産物です。
私が9・11事件直後に単独ボランティアとして
ニューヨーク入りしたことを知って
「 みんなが国外に逃げていた時にたったひとり、
逆方向に飛んできた元ボクサーにヒューマニティを感じる。
それを映画にしなさい 」 と私に脚本を書くように勧めたのも
イーライです。

人間は仕事でリーダーになっても人としてのバランスが
失われてはいけません。
彼は偉大な役者であるだけでなく
高い道徳観を持つ立派な人間です。

また、敵味方なく広島女性に治療を施した 「 国境なきハート 」
を持つ人達がいた事実を忘れてはいけません。
日本は恥ずかしくも自国民にさえも被爆手帳を出すとか
出さないとか渋いのです。
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by fighter_eiji | 2009-07-31 10:49 | Children’s Times
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