●○ 読者から ○●
Eiji san, 以前お話しした「King of the Blue」という舞台を見てきました。 ミス・サイゴンやレ・ミゼラブルと違い、新しいミュージカルです。 一見、ロミオとジュリエットのような悲恋ものの要素もありつつ、実はその根底に流れている内容が深くて、考えさせられて、ここ数年私が見た舞台の中で、かなりの上位にランクインします! なので、せっかくなのでご紹介します。 全編通して「せつない」お話でした。 ストーリーは・・・ 「人々が争う戦国時代、平和で戦いのない世の中を作ることを理想に戦う"皇帝"。 しかしそこに、400年前に人間たちによって忌み嫌われ、滅ぼされた鬼たちが目覚め、人と鬼との戦いが始まる。 人間は、食物連鎖の頂点に立ち、喰うだけで喰われることはないのに、身勝手に戦い合う、殺し合う。 古の時代には共生していた鬼さえも、人間は多勢で攻め滅ぼしてしまう。 そんな人間に対して、400年前の恨みを抱えて鬼たちは甦る。 人として生きてきたけれど、人を喰らう鬼として生きることになった女性"蒼龍"。 鬼でありながら人の側に付き、蒼龍を殺すことを命じられた男性"白虎"。 この複雑な立場の二人が、お互いの運命を知らずに出会い、恋に落ちる」 ・・・なんとなく、二人は哀しい結末になるだろうとわかってしまうからこそ、そこにたどり着くまでのひとつひとつの言葉が、せつないのです。 「お互いに、思い悩み、戦いたくないと思っていても、目の前で仲間を殺され、憎しみは生まれていく。 やはり、"蒼龍"と"白虎"二人の道は分かれて、戦い合い剣を交え、皆の目の前で相討ちになってしまう。 そして大勢の人と鬼が戦い合う中、人側の王である"皇帝"は、戦いを終わらせるためにやむなく爆弾を使って、人も鬼も吹き飛ばしてしまう。 爆弾を使えば、鬼だけでなく人も吹き飛ぶと分かっていても・・・。 粉塵が過ぎ去ったあと、"皇帝"は、自分が鬼の長である"玄武"に助けられたことを知る。 人(皇帝)も、鬼(玄武)も、願うところは同じ「平和」。 鬼も人も争うことなく平和な世の中を作りたい。 玄武は、平和を願って生きてきた皇帝を救い、この世を託すと言い残して、また400年の眠りにつく」 かなり大まかですが、そんなストーリーです。 幕が降りた後に・・・ 玄武が最後に残してくれたのは、人への希望だったのかなと思います。 助けられこの世を託された「皇帝」は、つまり「私たち=人だ」と。 もし私たちがその玄武の思いを受け止められずに、争い続け、平和をつくれないなら、きっとまた400年後に目覚めた鬼たちは、今度こそ、人を滅ぼすのではないかと。 (解釈は人それぞれだと思います。 終演後「何で玄武は皇帝助けたの!!!人間やっつけちゃえば良かったのに」という声も聞こえてきましたので・・・苦笑) この舞台を観終わって思ったのは・・・きっと本当に怖いのは「人間」。 自分たちと考え方の違うもの(鬼)を、多勢に無勢、大勢で寄ってたかって滅ぼしてしまう。 それはまるで、ある国の戦乱。 戦いたくない、憎みたくないと思っていても、目の前で仲間を殺されてもそう思い続けられるかどうか・・・ 殺さなければ殺される、それは戦地で追いつめられる理性。 自分だったら?と考えてしまう、けれど答えの出ないループ。 "食物連鎖"って学校で習ったけれど、その図を気にも留めていなかった。 私たちは喰うだけで喰われることはないからこそ、ちゃんと食べ物を「いただいている」っていう気持ち、自分の周りにある幸せ、仲間、友達・・・大切なものを本当に忘れてはいけないなって。 今時の"イケメン俳優"と呼ばれる役者さんも出演されている舞台なので、ロビーは女性客であふれていて、かなり華やかでしたよ。 「あの人カッコよかった」だけじゃなくて、 みんながこの舞台から何かを感じ取っていてくれたらいいのになと、 宣伝部長のようなことを思いつつ・・・。 本当に素敵な舞台でした。 おしまい。 ![]()
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