子供たちへ :
4-5年ほど前に品川駅の港南口には、
大きなビルが立ち並んだ。
各所にある大きなガラスドアのひとつを出る時に
次の人用にドアをおさえていた。
通った人を正面からは、見なかったが彼の声は
はっきり聞こえた。
「 どうもありがとうございます 」
これは、珍しい。
ドアを開いていたことに対してちゃんと
「・・ ございます 」 までお礼を言う人。
歩きながら振り返って
「 すごくいい人ですね。
すごくはっきりときちんとお礼を言われて 」
「 いえ、お礼だけは、ちゃんと言いたいもんですから 」
と言う彼は、42才くらいのビジネスマン。
「 いや、ほんとに珍しいですよ。黙ってる人がほとんどだし
お年寄り用やベビーカー用にドアを抑えてると
アホなサラリーマンや怪獣のおばはんやキャラキャラの
姉ちゃんが先に割り込んだりするからね 」
とエイジ。
「 ほんとにそうですね。 情ないですね 」 とスーツ姿の彼。
「 外国に住んでましたね 」 とエイジ。
「 あっ、はい。 どうしてわかるんですか?」
「 だって全然ちがうもん 」 とエイジ。