子供たちへ :
小さな窓から、木の枝を通して、あったかい朝日の差す
小さいテーブルに座る。
テーブルには、手編みのチェック模様のテーブルクロス。
大きな白いカップが置いてある。
エプロンのおばさんが両手に30センチほどの高さの
白い陶器のミルク入れを持ってる。
そのふたつがお互いにおじぎをするように目の前のカップの
上に傾くと白い湯気をたてながら、片方からは濃いブラックの
コーヒー。
もう一方からは、真っ白なミルクが蒸気機関車のように蒸気を
あげながら、堰を切ったように流れ出て、大きなカップの上で
渦を巻きながら一緒になる。
きれいなきれいな茶色のカフェ・オ・レのでき上がり。
カップの中でまるで生きてるみたい。
それは、1986年夏、スイスのルガノの小さな宿。
あれ以来、カフェ・オ・レが大好き。
10部屋ほどあるそのホテルのおばさんは、自分が出かける時、
エイジに宿のカギを預けて1日中外出してた。