放射能の影響で女児の出生数が減少?
2011年6月3日 National Geographic ![]() 受けるウクライナの子どもたち。 Photograph by Sergey Ponomarev, AP 放射線が、男児の出生率を上昇させている可能性が。 チェルノブイリのように地上で発生した事象については、 影響は局地的なものだが、大気圏での核爆発は、 全世界の男女出生比率に影響を及ぼしている。 女児は本来の予想より数百万人少ない出生数に とどまっていると推定される。 現在、日本で発生している原発事故によって、 新たに男児の出生率が上昇すると専門家は指摘。 1975~2007年におけるヨーロッパ39ヵ国 およびアメリカの人口データを分析。 1964~1975年にかけてはすべての国で、また、 1986年以降の数年間では東ヨーロッパ諸国の多くで、 男児の出生数が女児に比べて増加している。 “通常”の環境でも、105:100の比率で男児は女児より 多く生まれると、研究共著者のハーゲン・シェルプ (Hagen Scherb)氏は話す。 「このような比率になる生物学的な理由はわかっていない。 万有引力定数と同じ、自然の定数だ」。 シェルプ氏は生物統計学者で、ミュンヘンにあるドイツ研究 センターヘルムホルツ協会の環境健康研究センターに所属。 1960~1970年代に男児が増加した原因として、大気圏内 での核実験により放射性原子が地球規模で拡散したことを挙げている。 核実験によって放射性原子は大気圏の高層まで上昇し、 そこで気流に乗って地球全体に拡散した。 大気中での核実験は、1940年代末から1963年にかけて最も行われたが、1963年の部分的核実験禁止条約によって、アメリカ、ソビエト連邦、イギリスにおいては、それ以降、核実験は地下で。 Chernobyl's Hidden Fallout?データではその後も再び男児出生数が増加しているが、これは1986年に、当時ソ連の一部だったウクライナで原子炉が爆発したチェルノブイリ原発事故の影響だと研究は推測している。 しかし、チェルノブイリのケースでは、 影響はより局地的なものにとどまった。 放射性物質の放出が地上で起こったためだ。 「チェルノブイリに近い国ほど、影響が強く出ている」とシェルプ氏。 ウクライナと国境を接するベラルーシでは、2000キロあまり 離れたフランスよりも、女児に対する男児の出生数が多かった。 アメリカではチェルノブイリの影響はみられなかったが、 これはおそらく距離が遠すぎて、影響が出るほど多量の 放射性原子が到達しなかったためだろうとシェルプ氏。 世界中で放出された放射線によって、この数十年間に誕生した女児の数は、本来の予想より数百万人減っている。 遺伝医学・人類遺伝学研究所の遺伝学者カール・シュペルリンク(Karl Sperling)氏は、次のように述べている。 「科学界にとって、シェルプ博士による今回の研究成果はまったく予想外のものだったが、統計的には十分に証明されている」。 福島原発の放射線の影響によって、今後再び、ヒトの男女出生比率に偏りが生じる可能性があるというのだ。 「福島から放出された放射線の量は定かでなく、またそれが今後、全世界にどのように拡散するのかも不明だ」とシェルプ氏は。 「影響が出たとしても、おそらくは日本国内にとどまるだろう。 水や空気を通じて拡散すれば、特にアメリカ西海岸 で同様の影響が生じる可能性もある」。 研究の詳細は、「Environmental Science and Pollution Research」誌の6月号で発表された。
by fighter_eiji
| 2011-06-03 22:03
| Children’s Times
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