子どもたちへ :
ジョン・フォード監督の初期の作品 『 サブマリン爆撃隊 』
(Submarine Patrol、1938) では、アメリカ海軍の
船を何隻も沈めたドイツの潜水艦に挑む。
憎き敵の潜水艦を機雷攻撃で撃沈に成功。
水上対水中の戦いを終えたあと、静かに進む
アメリカ軍の船の横に救命具が流れてくる。
棒で引っかけて甲板に引きあげてみるとドイツ語で
文字が書いてある。
敵の潜水艦は、確かに沈めた証拠品だ。
指揮をとった船長は、うつむいたまま
「 八点鐘 (はってんしょう) を鳴らせ 」 と乗組員に指示。
八点鐘とは、亡くなった人を弔う鐘の音。
静かに響き渡る鐘の音の中、アメリカ軍の艦長はじめ
全部の船員が海原に向かって敬礼する。
型どおりの堅い敬礼じゃない。
みんな悲しい顔で。
敵味方を越えて、厳しい海で、悲しい戦争の
犠牲になった人間にはらう、人間としての敬意。
日本軍みたいに 「ばんざい!」「バンザイ!」「万歳!」
なんて両手をふり上げたり、殺戮者に勲章をあげたり、
祝杯をあげたり全然しない。