子供たちへ :
おばあさんたちの病室で。
入口の脇のベッドの83才くらいのおばあさんは
1週間前に退院したのに2日後に戻ってきた。
メガネの奥の目が優しい人。
部屋にはベッドが3つずつ2列になってて
全部で6個のベッド。
ある時、彼女の足元にある廊下側の通気口を
「 開けて風を通しましょうか?」と言ったら
「 いいえ。大丈夫。入口のドアから風が来るから
大丈夫。窓際のベッドは夏は暑くて、
向かい側のは冬は寒くて・・」
「 なんでもよく知ってますね 」
「 もうここに何度も来て、ずっといるから、
いろんなことを知ってます 」
たまに55才くらいの酒好き、
タバコ好きそうな、もさっとした男が来る。
「 そんなことガタガタゆうんなら、
俺はもう来んぞ!」
とおばあちゃんの上から爆弾を落とすみたいに
言う彼は息子。
同室の人が、きょう退院するので、そのおばあちゃんに
あいさつしたら、おばあちゃんは涙ポロポロで泣いた。