放射性物質放出量の予測システムが故障
2011年12月31日 毎日新聞
原子力安全・保安院は31日、原発で事故が起きた際に、放射性物質の放出量を予測する「緊急時対策支援システム」(ERSS)に不具合があり、作動しなかったと発表。
ERSSは放射性物質の拡散を予測する「緊急時迅速放射能影響予測システム」(SPEEDI)の基となるシステムで、この間に事故が起きていれば、放射性物質の拡散を迅速に予測できなかった。【神保圭作】
30日正午前、志賀原発(石川県)の検査官がERSSの表示システムが機能していないことに気付き、31日午後2時半に復旧したが、作動していなかった期間や不具合の原因は不明。
ERSSは約155億円かけて開発されたが、福島第1原発では電源喪失のため機能しなかった。
◇保安院、丸1日公表せず
保安院は、不具合を30日に把握していたが、丸1日公表しなかった。
担当者は「重要なシステムが活用できない状況にあったことは遺憾で、ERSSを管理する『原子力安全基盤機構』に原因究明と再発防止を指示した。申し訳ないの一言しかなく、今後は気を引き締めていく」と話した。