ノーベル賞級の教授
子供たちへ :

「上の娘は、教師になりましたし、下の娘は
今、大学院で成績はいいようです、ハハハ!」

― 「まあ、それはご自慢のお嬢さんですね、
ホホホホ!」

「今、やってる光合成の研究は本当はノーベル賞を
受けても当然なレベルのもので、研究としては
ハイレベルでして・・」

― 「光合成は注目されている課題ですものね、ホホホ」

・・・新横浜から新幹線に乗って来て、大きな声で
ずーっとしゃべってる、70才くらいのメガネの
大柄な教授と60才くらいの教授もどきみたいなおばさん。

教授はビールを2杯くらい飲んでいるのか、
赤い顔で上機嫌。声もでかい。

ふたりは休むことなく延々としゃべり続ける。
早起きとプレッシャーで疲れ切った夜8時の
サラリーマンたちが寝ようとしてるが、声にじゃまされる。

エイジは、いっぱいのメール返信をイギリスや
台湾やアメリカやブラジルや国内に送りながら、
ふたりが次の駅で降りることを願いながら
ふたりのことは、放っておいた。
メールは、黙って飛んでってくれるからいい。

ナゴヤ!ナゴヤ!・・ 2人は降りない。
キョート!キョート!・・ やっぱり降りない。
シンオーサカ!シンオーサカ!
・・ まだ降りないでしゃべる。

途中、教授の方を2度振り返って 「うるさいよ」 と
誰でも十分わかるように合図を送ったが、
このおっちゃん、まるで受信しない。
受信機能がやられてる。

新大阪を出て、おっさんがしゃべってる時に
「教授、あんたのおもしれえ話を聞かされなかったら、
えらく快適ないい旅だったよ。教授は快適だろうよ、
自分の好きなことばっかりしゃべってんだから。
大したもんだよ」

ふたりは黙りこくった。
10秒ほどおいてから、また振り返って
「そういう時、"悪かったね" とか "すまねえ" とか
言おうと思わないんだね、さすが教授だよ。
えれえもんなぁ」
教授は、まあまあ即座に 「すいませんでした」
2度目に振り返られたから、言おうと用意していた感じ。

教授もどきのエリマキトカゲババアは、
黙ったままこっちを見てる。
エイジは、特に爬虫類を見たくもないから、
決して彼女を見ない。
「教授は、まだ可愛いよ、遅れてでもそうやって
言うところが。 となりのは、プスンとも言わねえな」
エリマキは黙ったまま。

エイジの降りる駅が来た。
バックパックをしょいながら、教授の方だけを見て
「教授、ノーベル賞とってくれ。 達者でね。
となりのは、大したもんだよ。 りっぱな教授だ」

夜のプラットフォームに降りて歩き出すエイジを
ふたつの生物は、窓越しに黙ってじっと見てるのを感じた。
ひとつは、壊れた受信機みたいな大型テレビ。
もうひとつは、がめついガラパゴス・イグアナ。


  ● 読者から ●

こんばんは!
ノーベル賞教授の話、面白いね~ 吹き出しちゃった。
爬虫類おばちゃんやだね~。
吉川さんが乗る新幹線は、何かが起きますね!
さすが!

  ● 読者から ●

もう、面白すぎます!
エイジサン、最高です!
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by fighter_eiji | 2012-02-07 21:15 | Children’s Times
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