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新チャンピオンの次
1月5日に、ミンダナオ島のイリガン•シティで
フィリピン•フェザー級チャンピオンに
なったばかりのシリロ•エスピノ。

12ラウンドの殴り合いから6時間しか
経ってないボコボコの顔のエスピノは、
朝4時に起きて、6時間の道のりを
エイジにつきあって、カガヤン•デ•オロ
空港まで見送ってくれた。
マネージャーのガンデサが道中一緒に
来てくれてるし、そんなにしなくて
いいのに、彼は、朝一番にとび起きて
エイジが出てくるのを待ってくれた。
エイジの大きいバックパックは、
彼が担いで、指一本触れさせてくれない。

「きのう勝った瞬間、1秒だけ嬉しかった。
2秒後には、次の試合のことを考えた。
あれじゃあタイトル防衛できない」
と話すエイジにチャンピオンは、うなずいた。
やがて、4時半発の狭いバスの中、
立ち上がったエイジは「きのう、
こういう動きになってたけど、これじゃ
次は、勝てない」と話すとエスピノも
すぐに立ち上がって、動きを始めた。
マネージャーは、息の音もたてずに
聴いていた。
ふたりが座ったあと、
マネージャーがエイジに言った
「エスピノに東洋太平洋タイトル挑戦が
できるといいんだけど••」
「できるよ。チャンピオンなんだから」
と即答のエイジを物静かなエスピノは、
黙って見ていた。

きのう、1月9日夜、ニュースが入った。
「フィリピンのフェザー級チャンピオン、
エスピノ、2月20日、東京•後楽園ホール
で東洋太平洋タイトルマッチ決定」

地の果てのような、エアコンもない
ボロボロ体育館で30戦闘って来た男に
大舞台がやってきた。

自分に打ち勝つ男は、人生を変える。
きょうから練習開始。
by fighter_eiji | 2013-01-10 09:15
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