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税関と野球部
バックパックだけだから、飛行機が着いた
5分後には税関検査ゲートにいる。
いつも一番。

「上司の言うことは、悪事だらけでも
忠実で、市民の言うことは、意味さえ
わからない」という部活の最悪の産物
たちがヒマして待ってる。
野球部出身で警察学校の落ちこぼれ
たちは、他の到着客まで時間たっぷり
だから、エイジに「何日行ってたか」
とか「観光か」とか。
同じ質問を2回してきたから「自分で思い出せ」
「キャッチャーやってたろ?」
当たってるから驚くユニフォームの肉まん。
「キャッチャーがボールカウント忘れて
どうすんだ。だから、いっぱい負けたろ?」
それも当たってる。

彼はエイジが変わってるのはわかってても
荷物のことは疑ってない。
でも向かいのカウンターの野球部の
先輩の目があるから、荷物を開ける。

バッグを渡して、エイジはわざと反対方向を
向いて他の検査屋たちを見る。
開けられる自分の荷物を全然見ない客は
初めてだから、ドギマギしてるキャッチャー。
「あの、、確認のために見ていてください」
「心配すんな。信用してるから、キャッチャー」
「はい」と諦めた彼の手には、3つくらいの
Tシャツやらカメラのあと、ビョーンと
ソックスが出てきた。
「あ、それは、えれえクセエぞ」
「はい、じゃあ結構です」と即座にソックスを
戻した彼から、物を取り返してカバンに
入れ始めると、エイジが彼の型通りの
検査が気に入らないのを察していた肉まんは
「あ、こちらで直します」
「いいよ」と詰め直しながら
「悪い奴、しっかりとっ捕まえろよ」
「はい!」とチェックが責務であることを
認めてもらった野球部は、ちょっと嬉しい。

「顔見りゃわかんだろ、悪い奴は」と最後の
シャツをねじ込みながら。
「そ、そうですか。わ、わかりますか?
見分け方、教えてください」

詰め終わったカバンのジッパーを締めながら
「自分がきれいじゃないとわかんないよ」
と言うと同時に、バッグを右肩にかけて
歩き始めた。
キャッチャーのおかげで、
夜の最終バスは逃した。

「••• あ、そうですね••確かに••」
とキャッチャー。

ユニフォームを来た部活の肉団子達が
立ち並ぶ中、彼は少し学んだ。
でも効果が出ることは、一切ないだろう。
同類たちで固まって、まとまって腐っていく。
by fighter_eiji | 2013-01-10 12:22
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