晴れた日、カミ-ラの家にキセルタバコをくわえた、化粧の厚いおばさんが来た。
巾着袋から1500円ほどのお金をやせ細ったお母さんの手にのせた。
この森に囲まれた村で育ったカミーラがタイの首都バンコクに旅立つ日だ。
13才のカミ-ラの家にはお金がないから、「人買い」のおばさんが彼女を買った。
おばさんがお茶を飲んでいる間に、カミーラは家の裏に走って行って、木で組んだ縁側に小刀で文字を彫った「お父さん、お母さん、私を育ててくれてありがとう。いつまでも大好きです」と。
カミーラは知っていた、二度とこの家には帰れないことを。