「またあのバカが帰って来たか。おら、知らねえよ」
と団子屋「とらや」のおじさん。
「またエライことになるぞ」とタコ社長。
でも困ってる人がいたら、悲しんでいる人がいたら、
解決できない問題が起きたら、一番頼りにされる
のがこの「バカ」と呼ばれた寅さん。
柴又に引きこもった人達では太刀打ちできない。
寅さんはあちこち旅したから。
いろんな人の人生を見たから。
自力で生きてるから。あれこれ体験したから。
そして何よりも理屈でなく、心で人と接するから。
5百円札1枚しか財布に入ってなくても、人間は分厚い。
幼い頃から寅さんを見続けたミツオ少年は知っている。
寅さんが一番あったかいって。
タコ社長の個性派娘だって、
誰も理解してくれない時は、みんな寅さんに会いたい。
寅さんなら分かってくれるんだ。
この「人間らしい人間」にみんなが憧れる。