
5メートルほど前を歩き店に入った人が、入口のドアを押さえてしばらく待っていてくれた。 「サンキュー、ブラザー」
彼は夜の演奏前に練習に来ていた。
ジャズクラブ 「セブンス・アベニュー・サウス」 はマンハッタンのダウンタウンにある。
当時21才の彼はその後、グラミー賞を9回受賞。なんとジャズとクラシックの両部門で。
奴隷制を描いた大作 「 Blood on the Fields 」 ではピューリツァー賞も獲得。
舞踏界ではトゥワイラ・サープ、アルヴィン・エイリー等のトップクラスのダンスカンパニー用に作曲。
現在、リンカーン・センターの芸術監督も。
ドアを押さえてくれたあの日から24年、人間はこんなにも成長できる。本人の力もそうだけど、ニューヨークはそれぞれの人が、様々なアーティストと交わりたいと思っているから、新しいものがどんどん生まれる。
心に枠がないから。いつも学ぶ気持ちだから。
彼はトランペット奏者のウィントン・マルサリス。
川柳: 思うまま、感覚信じる、アーティスト。だからいつでも、初々しい