
大きな工場で働く小さな人間たち。
流れ作業の単純作業ばかりをしていた工員は狂ってしまい、いつでもどこでもひたすらスパナでネジを回し続ける。
工場経営側は「効率化、能率化、利益優先」しか頭にない。そこでは人間が人間らしく生きてゆけない。
ランチも効率化しようと、「自動ランチ機」を導入したりも。
工員はベルトコンベアに乗って大きな機械の歯車の中をグルグルグルグル。
1936年、当時46歳だったチャップリンの未来予想はピッタリあたった。
この映画の象徴はオープニングの6秒間ほどに詰まっている。世界のだれが観てもすぐに分かる。そこがチャップリンの賢いところ。パントマイムの達人は言葉なしで的確に全員に気持ちを伝える。
チャップリンは1931年から1年半かけて世界を周って、各国で高揚するナショナリズム(国家主義)と不況とオートメーション化による失業者に心を痛めた。
その結果が「街の灯」(1931)、「モダンタイムス」(36)と「独裁者」(40)。
人間の心を!それがチャップリンの一貫した声。
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今「パントマイムの神様」マルセル・マルソーの訃報が入った。父親がアウシュビッツ収容所で殺されたマルセルがパントマイムを始めたきっかけはチャップリンの映画を観たこと。1967年にマルセルはヒーローのチャップリンに一度だけ会えた。パリの空港でのこと。別れ際に77歳になっていたチャップリンは涙を浮かべた。
日本の「寅さん」だって、チャップリンの影響が多大。
本当の巨人は「コピー(複製)不能」が特色。