
私が小学生の時、走り高跳びといえばベリーロールかはさみ跳び。私はベリーロールで1m45cm。1968年にメキシコオリンピックで革命が起きた。ディック・フォスベリーが世界で初めて「背面跳び」で優勝。記録は世界新記録の2m24cm。
中学生になった私は、急に陸上の試合に出ることになったので体育館の倉庫の中でひとり背面跳びを練習。倉庫はせまいので助走は2歩だけ。つまり2歩目に踏み切る。それでも1m50cm跳べるようになった。外に出て助走をつけたら1m60cmに成功。
高校では1m75cm跳べた。身長が160cmしかない私には画期的だった。バーを越えて、背中から落ちたマットの上から、まだそこに残っているバーを見た時の嬉しかったこと!
試合の時、まわりには何百人も観衆がいたが、助走前に目を閉じて精神を集中し、再び目を開くと見えるのはバーだけ。左右の支柱も見えなかった。まわりが見えてしまったままで助走すると必ずバーを落とした。
のちにディック・フォスベリーが言った「背面跳びは常識への挑戦だった」。最初は変なフォームをみんなに笑われた。ディックは気にしなかった。
それが今、背面跳びが世界の常識になった。
「世界を変えようなんて思わなかった。ただ走り高跳びを続けただけだ」
まわりを気にせずに打ち込む人が結果として世界を変える。
同じことを繰り返すこと、「前例がないから」という退屈極まりない理由を公然と言い、新しいことは平然として何もしない人間からは何も生まれない。
みんな、人に笑われようが、自分の信じたことをやれ!