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映画 『奇跡の人』 - あらゆる大人に
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各地の学校や町で、悩んでる先生や大人たちに出会う。
映画『奇跡の人』(アーサー・ペン監督)はすべての大人(+子供も)に観てもらいたい。
親がどうあるべきか。何がいけないか?先生とは?問題の解決法は?ヘレン・ケラーの実話を描くこの映画は多くを教えてくれる。
これから映画を観る人にそのストーリを話すのはいけないのでストーリーは話しません。
ただヘレンの家庭教師に雇われたサリバン先生が第一にとった行動は教育というものの本質を象徴。「家に置いていたままでは教育ができない」と考えたサリバンは甘え放題のヘレンを家から出して、甘やかし放題の家族から離して作戦を開始。

私が思い出すことはボクシングジムで「人の道」を生徒に伝えようとしていた頃、家に帰すのがいやだった。週に2-3回、2時間道場で学んだことが家ではかき消されそうな気がしていたから。生徒たちの家には行ったことがないが、生徒を見ることで親が見える。

お坊さんには千日修行。侍には武者修行。丁稚奉公(でっちぼうこう)。全寮制の学校やキャンプなど重要な意味を持つ。それなくして学べないものがある。それをさせない親の共通点は「自分がそういう修行をしたことがない」。だからその意味も理解しない。

サリバンは奇跡中の奇跡を実現します。そしてその苦闘の果てに得るものは「愛」と「自己克服」。サリバンとヘレンは先生と教師の関係を超え、まるで母と子のような絆を結びます。人が学び、達成するときは相互的なものです。

監督のアーサー・ペンに2004年ニューヨークの名門俳優スクール「アクターズ・スタジオ」で出会いました。当時、自らの演出によるブロードウェイショー「Sly Fox」をリバイバル上演中のペン監督はアクターズ・スタジオのメンバーたちが学び合うワークショップに参加していました。前年にはフランスで映画作りを目指す若者たちにセミナーを行なっていた。80才を超えても向上心いっぱい。
サリバン先生を演じたアン・バンクロフトは翌2005年に亡くなった。舞台・映画人たちが役者を超えた偉大な人を惜しんだ。

当然ですが、本当に偉大な映画を作る人たちは人間として立派です。教育の本質をついた『奇跡の人』を生んだ彼らもまた「奇跡の人」たちです。
by fighter_eiji | 2007-09-07 20:29
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