1994年頃、シチリア島の丘陵地帯をドライブしていた時だった。200メートル先の道路上にふたつのコップ位の黒い影が見える。ひとつは立っていて、もうひとつは横になっている。前の車が立っている方の影のわずか10センチほど脇をビューンと猛スピードで通ったが微動だにしない。
石ころか、木片かと思ったら、それが轢かれて死んだ小鳥の脇にたたずみ、夫か奥さんの死体をずっと眺めている小鳥だと分かった。
さっきの超特急のような車が通ってもまったく動かないその小鳥の姿は最も悲しく美しかった。
小鳥さん、生き方を教えてくれてありがとう。
生き物を殺してはいけません。