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黒帯
柔道の先生がガンにかかった。
弟子のヨシ選手は 「 ガンセンター病院 」 へ、
お見舞いに行った。

先生はベッドの足もとにある手すりに柔道の黒帯を結んでいて、
起き上がる時は、それを引っ張る。

となりのベッドの少年が、その黒帯をいつも興味津々に
見つめていた。
ヨシ選手は、お小遣いをはたいて、その少年に黒帯を
買ってあげた。
ベッドの足もとに結んでやると、少年もそれを引っ張って
起き上がれる。
ニコニコ喜んだこの少年も末期ガンだった。

それから1ヶ月後、遠征試合に出ている旅先で、先生が
亡くなったと聞いた。
あの少年が、いつその短い生涯を閉じたかは分からない。

今、少年たちに柔道を教える師範になったヨシ選手には
孫も生まれた。

あれから40年が経ったが、あの少年に帯を買って
あげられて良かったと思っている。
元気に柔道に励む子供たちを見る度に、健康な自分が
どんなに幸せ者かを、あらためて深く感じている。

黒帯は締めるためだけにあらず。
人がつながるためにある。
そういう人間になってこそ黒帯。
by fighter_eiji | 2008-07-12 01:07
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