時々、ヒロちゃんを海外に連れて行く。
( ヒロちゃんは、エイジを産んだ人 )
でも、その行き先がどこなのかは、彼女に言ったことがない。
「 行けば分かる 」 し、行き先を言うなんて、これから観る
映画のストーリーを全部話すようなもの。
本人も慣れていて 「 どこに着くかな?」 とワクワク。
地中海を飛び越えて、人がひとりもいない、道がない、
石ころの平原の空港に降り立った時は、ヒロちゃんは
「 ここはアフリカにちがいない 」 と、思った。
そこはコルシカ島だった。
コルシカ島へ行こうとはまったく思ってなかったけど、
スイスでジュネーブ行きの列車に乗り遅れた時に、ふと
Corsica の文字が目に飛び込んだから、そこへ行ってみた。
コルシカの旅は一生忘れられないことの連続だった。
コルシカの港町、アジャクシオでヒロちゃんを細い路地にある家
に連れて行った。
壁や家具を眺めるヒロちゃんに 「 ここはナポレオンが生まれた
家 」 と言ったら、光っていた目がまた輝いた。
計画しないと新鮮なことだらけ。
団体ツアーで行ったところは 「 全部忘れた 」 と言うヒロちゃん
はなるべく遠くの、誰も行かない、地の果てのようなところに
行くのが好き。